2010/05/25

成る

 よく雨が降ります。23日から人吉に入っていましたが日本三急流のひとつ球磨川はかなり増水していました。ちょうど人吉市内のど真中を流れる一級河川です。今は熊本から博多に向かってますがやっと雨も小康状態です。九州が今とてもよく動いていますがやはり最初の出会いから本音で話し合い素直に動いておられる方々が15年続く今の仲になっていると強く感じます。新たな可能性があることを次々と実践していくには純粋な気落ちと素直な性格がとても大事な要素と感じます。水は高きより低きに流れる如く人間の行為もいくら考えてみたところで成ることは成るように成っていくということに尽きると感じます。


 自然は人間に教えてくれているのに人間の固い頭や強い意識が流れを阻み無理なことを強いるといずれ砂上の楼閣は崩れて行きます。山江村や人吉の気のおけない仲間達は何年も会わなくても会えば気持ちは通じることを何度も何度も経験してきました。ぶつかることや反発することもお互いに色々とありましたが目指すところが本当に同じ方向なら必ず融合して行きます。表面的には合っていそうでも似て非なるものは時間が経てばこれも必ず結果が出ます。成ることは成るように成る。この名言の懐の深さをじんわりと感じる雨の季節です。

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2010/05/20

フーテン

 子どもの頃からですがどこかにじっとしているよりも歩いていたり、頻繁に移動している方が身体が働くというか勿論同時に頭が働くわけですが調子がいいですね。何かをじっくりと考えるというとついつい静かなところで落ち着いて、となりがちですがわたしの場合はことごとく反対で結構賑やかな場所に行ったり、話したり、何かして動いているほうが身体全体がよく働きます。


 特に列車や飛行機、船等に乗っているときは歩いているときとは全く違う感じで又新たな発想が閃きます。それぞれに身体の体験が違うのでその影響だと今は考えます。飛行機は普通人間はいない空間、空高くを飛んでいるし、船は何と行っても潮の匂いがありますし、独特の揺れがあります。列車もあのゴトンゴトンという揺れ、新幹線は静かですが恐らく超特急な早さで地上を動いている感覚は身体に及んでいるでしょう。車とバスも微妙に違い面白いです。今は考えられませんが馬に乗って移動するとこれはまた動物との交流もあり飛んでもない発想が生まれそうな気がします。


 生きていく上で最も大事なのは自分の足で歩くことでしょうか、自分の足で大地を歩くことは突飛なことよりは身幅にあった考えが浮かぶので現実的な確かな歩みになると感じます。様々な発想を身幅に合わせて暮らしにいかすとはそういうことかも知れません。


 こう考えると自分の発想や考えがいつも移動していることに密接に関係していることがあらためてよく見えます。実に次々といろんな移動手段で動いているので発想にそれが反映するのですね。サラリーマンが合わない理由でもありそうです。




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2010/05/16

未来

 先日、ある街である人と二人きりで静かに語り合いました。その人は仕事上関係はありましたが、いつからか仕事とは関係なしに気になる存在になっていました。人と付き合う場合わたしはあらゆる肩書きや役職、環境、利害関係を取り外してその人の人間性だけで付き合うかどうかになっていきます。これはずっとそうです。


 テレビ局という独特の場にいたときも最終的にはどうしてもここが出てくるので自分ではガチンコ勝負をしてしまいます。テレビ局を辞して一人で事業をはじめてからもずっとここは変わりません。ある地域の情報発信をサポートするために入った時、都会と田舎が恊働するカタチを探ろうとする実証実験的なものでしたが、どうしても都会の方々のメリットばかりがあって田舎に残るものがありませんでした。皆さんの集まりでそこを明確に指摘しました。結果的に一年後にご縁はなくなりましたが今でも田舎の方々のその後は気になりますのでいろんなカタチで情報をもらっています。


 熊本でもそうでしたがはっきりと見える将来像がマイナスであったら修正し続けていかなければ未来は創れません。未来からやってくる可能性への誘いに今、いかに答えていくかが日々の仕事です。そこに徹していれば仕事は生まれ続けますし、緩やかながら確実に進展していきます。目先の利害に囚われた事業は必ず先が行き詰まります。自分ではそういう意味では未来が見えるある状態があります。それをやり続けています。


 ある街のある人は酒杯を傾け静かに話し合っているうちにじわーっと気持ちが伝わっていくのが感じられました。全く同時にある人の気持ちがじわーっと伝わってきました。この感じが結果的に仕事を成功に導くある状態です。こういう時身体が熱くなっていきます。決して酒のせいではありませんよ。

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2010/05/05

 今は赤い数字が入っている紙のカレンダーを貼っているので今日5日までが連休というのがわかるが、Macのスケジュール管理のicalなどは赤字や祝日が入ってないので(普通は入っているのか?簡単なソフトの入れ替えでできるのかな?)先月末に冷や汗をかいた。5月に打ち合わせをしたいという件があったので3日か4日は?と軽く返信したところ相手を困らせてしまった。「連休ですよ」とも言いにくかったとおもうがそういう意味では常識が通じないところで動いているんだなあ、と顧みた。


 起業した頃は毎日よくカレンダーを見ながら仕事をしていた。スケジュール表が真っ黒ではあったが今は状況はそんなに変わらないのに不思議とスムーズに動いていける。やるべきことが自然と決まっていき、優先順位も自然に並んでいくので昔やっていたようにスケジュール調整とかいうことにそんなに四苦八苦しないようになった。年齢的なものもあるとはおもうが、吹く風に乗っかっていれば結構気持ちよく必要な場所場所に連れて行ってもらえるように感じる。かといって風任せでもなく、自分の意志は常にある。


 今、住民ディレクターNewsで自分の仕事を振り返りつつ整理している。もう何度目のことだろう?整理していると14年前に構想していた絵の中を歩いている自分が見える。14年間変わらないでやってきて、14年間で大きく変わったと一見矛盾するような大きな動きを感じる。風に乗って動きながら意志がある。ということがこういう感じなのかもしれないな、と。


 お江戸にいても自然の心地良さを感じるように風通しが良い日々が続く。




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2010/05/03

事件

 小林秀雄さんの本は学生時代によく読んだ。というよりも小林さんの本以外は読めない時期がありました。もっといえば小林さんの本からいろんな作家の世界に入っていった時期がありました。小林秀雄さんは批評家ということになっています。ご本人の表現を借りれば己の夢を(他人の作品を通して)懐疑的に語ることが批評だといわれています。小林さんの書き方は一言でいえば作家の中に入ってしまう手法でした。「様々なる意匠」を取っ払ってその人の中に飛び込んでしまう。感覚としてはとてもよくわかったので小林さんが飛び込んだドストエフスキ―やランボー、トルストイ等の世界を垣間みました。


 中原中也という詩人に関しては小林さんにとっては決して穏やかに語れる人ではなかったのです。全集まで近づきましたし山口大学に行ったので自宅周辺をよく歩いたものでしたが人間のつながりの根本的なある何かを二人の関係を理解することから得ました。哲学者ニーチェや音楽家モーツアルト、骨董の青山二郎と文学にとどまらず小林さんの関心は人間の行為全般に渡っていたと感じます。従軍記者もされ多くを語られていませんが平和を考究された一人でもあると考えます。


 本居宣長を10数年かけて書かれたことが小林さんの最大テーマだったのでしょうが、「感想」というベルグソン論については途中で失敗を認め断筆しました。生前に家族や出版社に発刊を禁じていました。そのベルグソン論が全集のひとつとして発刊されていました。昨今小林さんの意志や意図を知らない研究者たちが手に入るかつての論文の断片を元に論じる傾向が増えたので「著者の意志を知らせるために敢えてその意図を伝えて」の出版という真摯な気持ちからでした。


 わたしはこの経緯を知りませんでしたが逆にこの出版された全集の一巻を先日本屋さんで手にして小林秀雄さんへの理解がさらに深まりました。「表現」ということの深さ、大切さを痛感した事件でした。


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