2010/08/26

テレビ

 テレビ局でディレクターやプロデューサーをやらせてもらっていた頃は相当傲慢な人間だったと今振り返ります。その傲慢を支えた背景は何だったのか?と考えるとテレビ局というブランドではあるのですがテレビ局を退職してからも傲慢ならもっと別の背景があるはずです。


 テレビという道具の中に居るからといって傲慢になる理由は全く見つかりませんが、テレビは魔物です、人を変えます。これだけネットが強い力を持ち出してもやはり民放やNHKの番組に出るということがステータスになっています。有名病にかかってない相当な人物でもです。そこがテレビにこだわる理由でもあります。


 単純に人はテレビが好きです。見ることからはじまりましたが出ることや作ることがとても好きです。好きこそものの上手なれの言葉通りで57年目を迎えたテレビの歴史はもう少しは残りそうです。しかし、結構いやな目にもあっています、テレビには。この何ともいえない不可思議な箱、テレビ。それでもどうも長いおつきあいになりそうです。



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2010/08/14

メディアと文学

 メディア激変というタイトルで朝日新聞が連載をはじめてもうどれくらいになるのでしょう?一応その1ページにはわたしも載せていただいたのですがその後ちょっと滞っています。まとめ読みができるのでいつかと考えているうちに滞ってしまいました。ただこのタイトルは見事だとずっと感じています。


 メディア激変。激変しています本当に、日々の変化が激しく。メディアが変化するということは当然人間関係にも社会にも大きく影響するわけですがここのところがなかなかわかりにくいところでしょう。Twitterかな?どこかで「文学なくして政治、経済を語れないと」書かれていた人がいましたが全く同感です。Twitterは便利ですが自分がフォローする人が増えれば瞬時につぶやきは消え去ってしまうほどその瞬間の出会いです。後で見ようとする人のためにリストで気になる人とテーマなどをピックアップする方法もあります。よく考えています。まだ使いこなしていませんが。


 新しいメディアが登場するとすぐに使い始める一群の人が必ずいますがTwitterで起こっている現象はこれまでの現象とはかなり違ってきていると感じます。そういうメディアです。ただわたし的にはTwitterのおかげで最近やっとSNSが具体的に使えてきました。有効な道具になってきました。地域SNSという地域コミュニティをベースにしたSNSですがTwitterが呼び水になっています。このへんがメディア激変の所以だと感じるのです。


 今までは地域限定なので閉鎖性が指摘されていましたがそんなことは使う側からすると関係ないのです。しかも「Twitterの新しい関係から地域SNSでの新しい関係が生まれる」ということがここで言いたいことです。そういう人間の関係性を現場で創っていく人がそのまま多くのメディアの関係性創っていくのです。新しいメディアの便利さや効用ばかりに目を奪(と)られているとクロスメディアの使い方は見えないでしょう。政治や経済は文学なくして語れない所以です。


 人間のことがよくわかってないと人間の集まりや集団がどのように動いていくかみえないので方向を必ず見失います。文学は当然ながら哲学の時代でもあるのでしょう。が、念を押しておくと高尚な文学、哲学の世間離れした話ではなく生活に根ざした自身の身体から生まれ出る文学であり血肉となった哲学という意味です。



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2010/08/12

リーダー

  多分もう20回目だろうと感じる黒沢映画「七人の侍」。昨日誕生日に原点を再度見直した。村を野武士軍団に狙われた村人たちから助っ人を頼まれ6人の浪人を連れて村に入る元軍師の島田勘兵衛にあらゆる社会に通用する人間のリーダー像を見る。

勿論この奥深い大芸術娯楽作品を村おこしの視点だけでみようなどとはつゆとも考えていませんがその視点でみればこれまた多大な収穫がある。勘兵衛の魅力は数えきれない戦(いくさ)を経験しながら全て負け戦だったということから来る「あきらめ」、謙虚さとは違う独特の美学を醸し出していること。常に人間だけをみて戦った結果と読める。

百姓を竹槍強力軍団に鍛え上げ、死闘の結果、野武士軍団との戦いに勝った後同志の4人を失い、田植え歌を賑やかに謳いながらはしゃいでいる百姓達をみつめ「また負け戦だった」との一言が象徴的。「この戦に勝ったのは百姓達だ」。そして残った3人は村を後にする。

盗賊が目をつけ麦が実る頃までの数ヶ月間で勘兵衛の指導力が見事に表現されていく。勘兵衛を尊敬する若侍、塚原卜伝がモデルとされる副長的な立場になる元軍師、同じく宮本武蔵がモデルとされる剣客久蔵、もっとも一番に見込んだのが町に侍を求め探しに出た4人の百姓たちだった。村の長老、・・・。皆勘兵衛に惚れ込んでいく。

防塁を築きつつ鍛錬しながら武士と百姓の文化の違いから来るカルチャーショック的な衝突が続くが、実は百姓なのに武士を名乗る菊千代(三船敏郎)が両方の文化を破壊しつつ重要な局面では新たな動きを作っていくリーダーともなっていく。戦略的イノベーションを起こしていく。その基調は笑いだ。

いやあ本当に素晴らしい映画です。ジェンダーとして見れば木村功演ずる若侍と侍に奪われないようにと男に化けている村の娘志乃の出会い、恋、破局のプロセスは百姓の生き方と武士の生き方がガチンコでぶつかる。しかし愛し合う。見つけた父親は怒り狂い、村のためにかつて妻を野武士に差し出すしか無かった利吉はその親父に「好き同士ならええじゃないか」と怒り心頭で噛み付く。・・・

このまま行くとこの映画の魅力を伝えるにはどうも文章は難しい。総合的、全体的でグローバルな人間関係が織りなす見事な叙事詩です。七人の侍は語り合う映画です。語り合って交流しながらそれぞれの生き方を表現する映画になっています。地域活性化のヒントはひとつはここです。

そろそろ移動の準備があるので一旦切りますがこの話は具体的にどこかの村でやってみたいと考えています。



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2010/08/08

商品

 東峰村に住み込みをはじめました。住み込みですからこれまでの3年半とは違って家もあり事務所もあって買い物は基本的には東峰村でするようにします。が、正直言って全部東峰村で済ませるのは難しいですね。


 ひとつはコンビニがないとかスーパーがないということですがそれは結局「欲しいものが安く手に入る」という都会の生活とはかけ離れている状態です。欲しいものの品揃えが無く、だからこそですが高い買い物になる。あるものが限られているのですね。100ショップで済ませたいものまでそれなりのものを買わざるを得ないのです。


 例えばスリッパ、例えば掃除用モップ、何とか100円で済ませられるスリッパが500円、300円で何とかなるモップが2100円になってしまうのです。誤解しないでほしいのですがこれは村の商店を批判しているのではないのです。これが小さな村の現実です。パン屋さんや八百屋さんや薬屋さんがある種みんな雑貨屋さんにならないと商売にならず、必然と置く商品が限られてくるということだと考えています。


 まだ住み込みをはじめたばかりなので詳しく調べたり商店主に実情を聞いた訳ではありませんが恐らくそんな感じだとおもいます。何しろ周囲には高齢者が多いのです。普段の暮らしの中では100円ショップのような商品は売れず、かといって高いと買えないので平均的な商品が少なく置かれているのが田舎の雑貨屋さんではないでしょうか。少子高齢化が問題だと普通にいわれていますがどこが問題で解決するにはどうするのか、ここ東峰村に住み込んで一緒にケーブルテレビ番組を制作し、生活、暮らしの現場をしっかりと共にして考えていこうと動き始めました。


 そのためにも大都会東京の暮らし、地方中核都市、ちょい田舎、離れ島、中山間地などのいろいろな地域の生活が同時に見えないと偏向してしまいます。今日明日は大都会東京を歩きます。



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2010/08/02

 今日は気持ちの中ではちょっと忙しい日ではありました。ところがいろんな人の気持ちでとても穏やかで落ち着いた日になりました。その一人、熊本の自宅近くのガソリンスタンドのお兄さん。もう20万キロメートルも走っている我が家のボロ車の車検をせっせとしてくれた奇特な人です。今日もたまたま前から気になっていたドアの開閉が弱くなっていたので(時には開かないこともある)持っていきました。色々とあって結果的にはボロ車の性(さが)なのですが何と何度も何度も頑張って修理してくれて電話がありました。「何とか大丈夫です、部品を取り寄せて修理するとうん万円かかりそうなので・・・」、といいます。思わず「商売っ気がないねえ」と言ってしまいましたがこういう人に生命を預ける車のことを任せるのは心から安心できます。


 もう一人、住民ディレクターのトップ集団を突っ走っている人。最近は事あるごとに辛いことやきついことをわたしが言い続けています。本人もしんどいでしょうが言うのもしんどいというのは正直あります。その人がわたしの近況を知って手伝いをしてくださる、言い方を変えれば「お手伝いできることはないですか」、というメールが来ました。自分が感じていたよりもはるかに大きな人間力を感じました。


 同じく住民ディレクターつながりの熊本の技術者さん、技術面で教えを請おうとメールしたら「授業料は高い」といいながらも全面的に協力してくださるとの本音をメールしていただきました。気持ちが通じる人達がこんなにいっぱいいることは最高の幸せです。


 「八百万人紀行」にてわたしがお会いして一時はいろんなトラブルがあったとしても必ず仲良くなっていける人は長年世の中を歩いてきた大人にしては貴重なほど素直ですね。言い方が難しいですが。


 最近はNHKの龍馬伝をよく引き合いに出しますが、昨夜も薩長連合の説得には「真」以外に何も無いというドラマでした。龍馬の「真」は日本を大きく動かすのです。実際は龍馬であったのか西郷か、桂か、中岡か、陸奥か??本当のところは無名の志士がやったのか?わかりませんが「真」が人を動かすということだけは見事に書いているドラマです。

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