2010/09/14

極意

 未来を生きるという言葉はありますがなかなか真の意味をわかるのは難しいと考えてきました。先日ある人の話を聞いていて「あっそうか!」とピンと来ました。ある人が今従事している仕事を退職しても、人のため地域のためのメディアを作ったり発信したりすることを考えはじめた時、発想はあるけれど実際のメディアの作り方や発信の仕方、まして人のためになったり地域のためになるということは具体的にどうするといいのかは全くわからないということでした。


 実際にその人が書いた企画書というか課題と解決策を整理したものを読ませてもらうとわたしがこれまでに考えてきたことや、その解決のために具体的にやってきたことがそのまま書かれていると感じました。最近自分自身の経歴を振り返っていると今この人が考えているようなことを約30年ほど前に自分自身が考えてきたこととオーバーラップします。しかし当時はわたしの発想は周囲には全く理解されませんでした。


 民放でやっている番組づくりのノウハウを住民の皆さんに公開し、放送枠を開放し、地域振興に役立ててもらおうというものでした。当時はビデオカメラが一台700万から1000万円しましたし、編集は大きな機械が居並び、触るだけでも大変でした。1時間の使用料金が数万円にもなりました。編集には数十時間もかかるのであっという間に100万、200万円になっていました。放送枠は飛び切り高くてあまり見てもらえない時間帯に(いわゆる視聴率の悪い時間帯です)ちょっと放送したいと考えるだけで少なくとも数百万円用意しないと出来ませんでした。ですからわたしの発想は普通に考えると飛んでもない非常識な考えということになっていました。


 わたしの企画に快く協力してくれていた全国的に有名な芝居小屋の座長さんからは「お前がやろうとしていることはNHKがやることだ、NHKにまかせろ」とよく言われました。しかし自分で場をつくりながらやり続けてきました。あれから約30年、わたしが当時考えたことをテレビとは関係ない世界からやろうとする人が次々と出てきました。もう700万円のカメラは不要で放送枠に代わるネットもあり編集は何時間かかっても費用は電気代ぐらいです。しかも元々わたしは今のテレビでないとだめなことをやろうとしていたのではなく、番組づくりのプロセスに非常に優れたコミュニケーション機能があり短時間で大きな効果を上げるチームワークづくりになるということを発見し、それを提供しようと考え続けてきたのです。


 それは一人で作る番組作品制作ではなく番組中継等のグループでやる番組づくりです。コミュニケーションとチームワーク、その二つの力は地域づくりに大いに役立つのです。メディアを作ることが目的でなくて手段であり自分の生きる姿勢が地域での恊働の牽引役に必要な前提条件です。


 地域にとってよそ者であっても自分自身がその地域課題を解決する当事者として生き、ガチンコを避けず、傍観者ではなく参画することです。









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